OSPF Stub NSSAについて |
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OSPFのスタブエリア、トータリースタブエリア、NSSA、トータリーNSSAについて記載します。
OSPFのスタブエリア、トータリースタブエリア、NSSA、トータリーNSSAの設定方法についてはこちら
他のルーティングプロトコルからOSPFに再配布されたルートなどLSA Type-5の外部ルートを受け取らないエリア。
バッグボーンエリアや標準エリアにはLSA Type-5(外部ルート)がアドバタイズされるが、
場合によっては多数の外部ルートがOSPFデータベースを肥大化させる可能性がある。
スタブエリアはこれを回避するための手段。
スタブエリアに属するABR(エリア境界ルータ)は、スタブエリアに向けて外部ルートの代わりにLSA Type-3で
デフォルトルートをアドバタイズする。従ってスタブエリア内のルータは外部ルートへのルーティングが
必要となった場合、デフォルトルートを使用する。
なお、スタブエリアはLSA Type-3のルートはフラッディングされるため、OSPFネットワーク内の他のエリアへルーティングする際は、
特定のルートを使用することになる。
また、スタブエリアはバックボーンエリアにすることはできず、Virtural-Linkを通過させることもできない。
スタブエリアが有効なのは、ハブ&スポーク型のトポロジーを使用していて、スポークである支店を
スタブエリアに設定するような場合である。このような場合では、1つのデフォルトルートで多くの
外部ルートを置き換えることができるため、ルーティングテーブルとOSPFデータベースがスリムになり、
ルータ上で必要とされるCPUやメモリ使用量を減少させることができる。
スタブエリアの設定はスタブエリア内の全OSPFルータにおいて、OSPFプロセス配下で以下の設定を行う。
router ospf 1 area 1 stub
上記の構成で、R1で再配送したルート1.1.1.1/32がR2ではLSA Type-5の外部ルートとして見える。
R2#sh ip route ospf O E2 1.1.1.1 [110/20] via 100.1.2.1, Ethernet1/0 O 100.0.1.0/24 [110/20] via 100.1.2.1, Ethernet1/0
スタブエリアに属するR3ではLSA Type-5の外部ルート(1.1.1.1/32)はフィルタリングされ、 その代わりにLSA Type-3のデフォルトルートがアドバタイズされる。 なお、Area0のルートであるLSA Type-3の100.0.1.0/24と100.1.2.0/24については、 スタブエリアではフィルタリングされない。 LSA Type-3のフィルタリングはトータリースタブエリアで行われる。
R3#sh ip route ospf O*IA 0.0.0.0/0 [110/11] via 100.2.3.2, Ethernet1/0 O IA 100.0.1.0/24 [110/30] via 100.2.3.2, Ethernet1/0 O IA 100.1.2.0/24 [110/20] via 100.2.3.2, Ethernet1/0
Ciscoが独自に定義しているエリアで、スタブエリアをさらに徹底したもの。
LSA Type-5(外部ルート)だけでなく、OSPF内の他エリアへのルート(LSA Type-3)も受け取らない。
従って、自エリア外へのルーティングはABR(エリア境界ルータ)からLSA Type-3でアドバタイズされた
デフォルトルートのみを使用する。
トータリースタブエリアではルーティングテーブル内のルートの数を劇的に減少させることができる。
スタブエリアよりもトータリースタブエリアのほうが優れた結果をもたらす場合があるが、
対象とするエリアをCiscoルータに限定する必要がある。
トータリースタブエリアの設定はトータリースタブエリア内の全OSPFルータとABRにおいて、OSPFプロセス配下で以下の設定を行う。
router ospf 1 area 1 stub
router ospf 1 area 1 stub no-summary
no-summaryと言うのサマリーしないという意味ではなく、LSA Type-3のSummary Routeをトータリースタブエリア内に
アドバタイズしないという意味。このオプションはLSA Type-3をフィルタリングするためのもので、
ABR以外のトータリースタブエリア内のルータでno-summaryオプションを指定しても意味はない。
上記の構成で、R1で再配送したルート1.1.1.1/32がR2ではLSA Type-5の外部ルートとして見える。
R2#sh ip route ospf O E2 1.1.1.1 [110/20] via 100.1.2.1, Ethernet1/0 O 100.0.1.0/24 [110/20] via 100.1.2.1, Ethernet1/0
トータリースタブエリアに属するR3ではLSA Type-5の外部ルートはフィルタリングされ、 なおかつ100.0.1.0/24と100.1.2.0/24のLSA Type-3もフィルタリングされる。 その代わりにLSA Type-3のデフォルトルートのみがアドバタイズされる。
R3#sh ip route ospf O*IA 0.0.0.0/0 [110/11] via 100.2.3.2, Ethernet1/0
一言でいうとASBR(Autonomous System Boundary Router)が存在することができるスタブエリア。
スタブエリア、完全スタブエリアにはASBRを設置することができない。
そうなるとASBRは標準エリアに設置する必要があるが、標準エリアの場合、
スタブエリアのようにLSA Type-5(外部ルート)がフィルタリングされないため、
多数の外部ルートが存在する場合、ルータに負荷をかけることになる。
そこで、ASBRの設置が可能なスタブエリアとしてNSSAが存在する。
NSSAが接続されたOSPFネットワークからはLSA Type-5の外部ルートがフィルタリングされるため、
スタブエリアと同様に外部ルートの数を減少させることができる。
NSSA内にはLSA Type-5がフラッディングされないため、NSSAに接続された外部ネットワークから
NSSAへルートを再配送した場合は、外部ネットワークのルートをLSA Type-7としてNSSA内にフラッディングする。
ABRはこのLSA Type-7をLSA Type-5の外部ルートとしてOSPFネットワーク内部へフラッディングする。
なお、スタブエリアと同様にOSPF内部の他エリアのルートについては、
ABRによりLSA Type-3でフラッディングされる。
NSSAの設定はNSSA内の全OSPFルータにおいて、OSPFプロセス配下で以下の設定を行う。
router ospf 1 area 1 nssa
上記の構成で、R1で再配送したルート1.1.1.1/32がR2ではLSA Type-5の外部ルートとして見える。
R2#sh ip route ospf O E2 1.1.1.1 [110/20] via 100.1.2.1, Ethernet1/0 O 100.0.1.0/24 [110/20] via 100.1.2.1, Ethernet1/0 O N2 100.3.4.0/24 [110/20] via 100.2.3.3, Ethernet1/1
NSSAに属するR3ではLSA Type-5の外部ルート(1.1.1.1/32)はフィルタリングされる。 なお、Area0のルートであるLSA Type-3の100.0.1.0/24と100.1.2.0/24については、 NSSAではフィルタリングされない。 LSA Type-3のフィルタリングはトータリーNSSAで行われる。 なお、NSSAの場合は、デフォルトルートはアドバタイズされない。 NSSA内にデフォルトルートをアドバタイズする場合は、以下に記載する設定が必要となる。
R3#sh ip route ospf O IA 100.0.1.0/24 [110/30] via 100.2.3.2, Ethernet1/0 O IA 100.1.2.0/24 [110/20] via 100.2.3.2, Ethernet1/0 R3#
NSSAではデフォルトルートがNSSAに接続されいる外部ネットワーク側に向いている可能性があるため、 NSSA内にはスタブエリアのようにABRにおいてデフォルトルートはアドバタイズされない。 ABRにおいてNSSA内にデフォルトルートをアドバタイズするためには、 ABRにおいて以下のコマンドを投入する必要がある。
Area 1がNSSAの場合router ospf 1 area 1 nssa default-information-originate
このコマンドによりNSSA内にLSA Type-7でデフォルトルートがアドバタイズされる。
トータリースタブエリアのようにABRにおいて、LSA Type-5(外部ルート)のみをフィルタリングするだけでなく、
OSPFネットワーク内部の他エリアのルートであるLSA Type-3もフィルタリングする。
NSSAとは異なりトータリーNSSAの場合は、ABRによりトータリースタブエリアと同様にデフォルトルートが
LSA Type-3でアドバタイズされる。従って、OSPF内部のネットワーク宛てのルーティングは
全てデフォルトルートでルーティングされることになる。
トータリーNSSAの設定はトータリーNSSA内の全OSPFルータとABRにおいて、OSPFプロセス配下で以下の設定を行う。
router ospf 1 area 1 nssa
router ospf 1 area 1 nssa no-summary
上記の構成で、R1で再配送したルート1.1.1.1/32がR2ではLSA Type-5の外部ルートとして見える。
R2#sh ip route ospf O E2 1.1.1.1 [110/20] via 100.1.2.1, Ethernet1/0 O 100.0.1.0/24 [110/20] via 100.1.2.1, Ethernet1/0 O N2 100.3.4.0/24 [110/20] via 100.2.3.3, Ethernet1/1
トータリーNSSAに属するR3ではLSA Type-5の外部ルートはフィルタリングされ、 なおかつ100.0.1.0/24と100.1.2.0/24のLSA Type-3もフィルタリングされる。 その代わりに通常のNSSAとは異なりLSA Type-3のデフォルトルートがアドバタイズされる。
R3#sh ip route ospf O*IA 0.0.0.0/0 [110/11] via 100.2.3.2, Ethernet1/0
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